神谷美恵子の生きがい論の主要な主張

神谷美恵子の生きがい論の主要な主張は、
生きがいを「腹の底から湧き出る喜び」と定義し、
それは理屈よりも先に来る純粋な喜びであるという点にあります。
彼女はハンセン病患者との交流から、
極限状況においても失われない
人間の内なる力として生きがいを捉えました。
生きがいは外的な報酬や社会的期待ではなく、
「ただやりたいからやる」という
内発的動機に基づく行動の中にこそ
根源的に存在すると考えました。

また、神谷は生きがい感と幸福感を明確に区別しています。
生きがい感とは、「未来に向かう心の姿勢」であり、
現在が困難でも希望があれば持続するもので、
外的条件に左右されにくいのに対し、
幸福感は現状満足で一時的に変動しやすいものとされます。
さらに、生きがい感は自己形成や苦悩の克服とも結びつき、
個人が新しい自己を形成し
心の統合を得るプロセスでもあると述べています。

生きがいの基礎には、
生存充実感、変化と成長、未来性、反響(共感や尊敬など)、
自由、自己実現、そして意味や価値といった多様な欲求があり、
これらを通じて人は自分の存在意義を感じるといいます。
生きがいを持つことで自然と利他的な気持ちが育まれ、
他者への寛容さや社会的なつながりも促進されると
神谷は主張しています。